鑑賞した日付:2020年6月20日
アニメ「UN-GO」  原作:原案:坂口安吾
★★★★★
総合点:91点/100点

甘口に言って星5つ。
坂口安吾の連作時代推理小説『明治開化 安吾捕物帖』を現代的な、というか未来的な解釈でアニメにし直したのがこの作品。フジテレビのノイタミナの作品。

 最初は一話読み切り方式で、初めのうちは、意外と話に惹き込まれないというか、それほど良いと思っていなかったのだけれど、4話目くらいまでくると全体的な構成や話のスジ、設定などが理解できて面白くなってくる。暇つぶしに見るには割と良い内容。

 意外と絵も綺麗で且つ独特で魅力的。
 ちゃっちゃと人が殺されて、ちゃっちゃと解決するような大雑把に作られた探偵推理もので、簡略的に作りすぎだろ…とは思うけれど、これ以上、難しくしたりするとエンターテイメント性が失われるのでこれくらいで良いのだろう。
「どんな名探偵でも、全ての被害者が殺されてから推理を終えるのだ…」
というセリフの通り、そういう構成になっているのが見やすさの理由でもあるのだろう。

 5話目くらいから、この話の本質に迫る内容になって一話読み切り方式ではなくなってくるが、結局全11話ではまだ主人公やその相棒の成り立ちなどについてほぼ語られずに終わる。本当はもっと深い話なのに、ここで打ち切りになったというか、人気が出なかったのかこれ以降、つまりシーズン2が作られずにいる物…という感じだ。見終わった感想としては、結構硬派な内容で良かったと思ったのに、その辺が残念に思った。是非、シーズン2を作ってほしいと思った。
・・・と思っていたら、「エピソード0、因果論」というのがあったので見てみたらそこでいろいろ語られていた。


 海勝麟六や因果など、主人公の探偵、結城新十郎よりもずっと強そうなヤツが裏の方で暗躍している感じがかなりカッコイイし、ちょっと斬新な展開というか設定だなと思った。
海勝麟六の様な所謂「安楽椅子探偵」をアニメ化するのは他に無いように思ったがどうなんだろう。

 エンディングに出てくるキャラクターが本編に徐々に出てくるのが、段々と必要なピースが集まるような感覚を覚えてなんだか良かった。というかエンディング曲やヴィジュアルがやっぱり非常にナチュラルにカッコイイ。
そのエンディング曲は以下で紹介した。

坂口安吾の原作小説のアニメアレンジUN-GOのED曲

 サイコパスに非常に似た作品とも言えるが、僕はこっちのほうがサクッと見れて良い様な気がしたくらい、気に入った。サイコパスもそうだが、この作品も全体的にスタイリッシュでカッコイイ作品だった。

凄く良かったので他の人の見解なんかも調べてみたら、因果と別天王の正体について詳しく言及しているサイトを見つけた。

・UN-GO 因果と別天王の正体を考えてみた
https://blog.goo.ne.jp/masoho-zero/e/9771e4ecb6f2df4e509dd344db6ab865

 僕は昔、訳あって少し仏教を研究していたことがあり、般若心経やら特に観音経を空で言えるくらいになったのだが(これでも優秀なのでね…)、その「観音経・普門品第二十五」の中に出てくる「應以天龍夜叉乾闥婆阿修羅迦樓羅緊那羅摩?(ふ)羅伽人非人等身得度者…」の部分、ここで言われる「乾闥婆(ガンダルヴァ)」が「因果」であり、「緊那羅」が「別天王」のことらしい。

 なんで因果はパンダ柄のパーカーみたいな被り物をしているのか…?と思っていたけど、本当に乾闥婆は動物の被り物をしているんだね…w。
 よく見ると、エンディングの途中で少しだけ「乾闥婆」の像が描き込まれているんだね…。