鑑賞した日付:2020年4月18日
アニメ「SHIROBAKO」  作者:水島努
★★★
総合点:74点/100点

 非常に評価が高い作品の様だけれど、また、作品としては別になにも悪く無いけれど、冷静に考えてみると僕、アニメ業界の現実とか苦労とか、別に知りたくないというか、興味ないしな…。これは僕だけの話ではなく殆どの人がそうなのでは?…と思っていたけど…

 こういうメタ的な作品があること自体は必要不可欠というか、それはそれで良いと思うし、実際、この作品自体は別に悪い作品ではないのだけれど、アニメ業界の裏側をリアルに描いた…という、それ以外の何物でもないですよね。エンタメ作品、芸術作品、創作品として、何の面白味も無いし、そのあらすじというか、「アニメ業界の裏側、現実」からハミ出す部分が無さ過ぎるよね。っと。
つまりアニメ業界の求人広告的な広報のアニメを作り込んでみました…みたいな事じゃん。

 「アニメ業界の現実」を知りたい人、その苦労等に感情移入出来る人って、アニメ業界に興味がある人だけですよね…?例えばアニメの制作会社で働いている人、働いていたことがある人、目指している人。
逆に言えばそれ以外の人にとっては何の関係もない話だ。他人の苦労だ。
だからそこから何かハミ出す部分が無ければ見続ける気になりにくいのではなかろうか?
元々メタな話であることは承知しているが、要は「お前らの仲間内の、内輪の話だろ!」と。

 あと、やっぱりオタク… おっと失礼…。アニメ業界の人達の言動とかが本当にこんな感じで、この作品がリアルだというのなら、やっぱりキモイなと拙者は思ってしまったでござるよ。デュフフッ

 ただただ…、何の面白味も無い現実の…苦労の話…だよね…!?
 アニメとしては凄く丁寧に、且つリアルに、上手に作ってあるとは思うけど。

 むかしTVドラマであった「ADブギ」みたいなことだよね!?
 アニメ業界で実際に働いている人等にとっては良いアニメなのではないでしょうか?

 そういう意味ではアニメ業界で働いている人のオナニー的な作品とも言えるけど。
ま、芸術なんてものは特に、そもそもオナニーなんだから別にいいんだけど。でもそこが「芸術」と「エンタメ」との違いなのかも。興行収入を意識したビジネス的エンタメ作品の場合は、本当にただのオナニーでは済まされないところがあるのだろうから。果たしてこの作品は芸術作品なのか?いや、違うだろう。これはエンタメ的構造で作られたものであろうから、これではダメだ!という様な事が言いたかった。


・・・と、ただ、そう思いながらも、結局24話最後までダラダラと見てしまった…。
そうするとかなり印象が変わってきて、流石に最後まで見たらなんだか凄く良くなってきて、後からジワジワと僕の中で点数があがってきたw…。。そもそもこの作品の難点は、最初の10話位まであまり面白く無いということかなと。しかし24話ラストまで見ると、主人公を含め新人に至るまで、みんなメチャクチャ頑張っていて、且つ、メチャクチャ優秀で仕事ができるタイプで美化して描かれている部分もあるので、なんだかやる気になるというか、本当にこんな組織があったらいいなと思ってしまうような良さはあった。自分も少しは頑張ろうとか、そう言う気持ちにもなれる。登場人物の皆が、自分の役割を色々な葛藤あれどガンガンやっていて凄いなと思った。

 「頼むだけならタダですから!」と言って、
大御所たちの連絡先を調べ気負わずガンガン声をかけていく主人公は現実ならあり得ないキャラなのかもしれないけれど、現実にこんな人が居たらそれは超凄腕の敏腕マネージャーだよね?っと。是非ウチに欲しいと思った。こういう人が身近にいたらどんどん仕事が進むだろうなという感じが良かった。意外とこの新人の主人公が激烈に優秀な気がしたのだが…。
だって実際にはこの世の中って、まともな返事や挨拶(メールの返信や業務報告)すらできない奴が殆どだぜ…。
どこでも良いが、例えば、駅や大型スーパーのトイレを御覧なさい。どうだい?分かるか!?
この世には「ウ●コすら、まともに出来ない奴」が沢山いるってことだ。それが現実。


 組織で物を作ることの良いところと悪いところがあると思うけど、殆どは悪い事なんだろうなという風にも思った。少なくとも僕にとってはそう思わされる話のアニメだった。僕だったらもっと有能な独裁者としてワンマンでやるだろうし、それ故にこういう組織の意思の統率が取れてない感じにはかなりイラ立った。特に演出や監督など、上層部についてだが、「全員、優柔不断かよ!!」とツッコミたくなった。そういうちゃぶ台返しの連続みたいなことを避けるために、僕だったらもっと独断でやるし決めるだろうと。そして逆らう者は全員即、粛正する。大体最初にとことん話し合って決めて、もう制作し始めたら話の結末とか内容を変えるなよと!そこはもうその時点で絶対だろ!と。それじゃ何も起こらなくてお話にならないからそういう話にしているのかもしれないけど。
※(あと、個人で独断でやると仕事は早くなるけど大きな案件を得られないというデメリットもある)

 このアニメに出てくる人達は、一見、クリエイターやアーティスト、芸術家の様に見えるけれど、実はそうではなく、アニメーターもフリーのアニメーターも演出家も監督も皆、会社に所属する「サラリーマン」なんだよな…と。だから“孤高の芸術家”気取りの僕からしたらその辺に強く違和感を覚えたのだと思う。サラリーマンにはサラリーマンの良いところもあるけれど、ダメなところもあって、そのダメなところが気になったということだろうか…。

:ネタバレ:

 最後に声優の友達が役を貰うシーンはマジで泣ける…。
 でもそれによって、売れている声優がなぜ売れているのか?というところにまで理解が進む。 詳しくは言わないけど…。やっぱり、いろんな意味での運だよな。っと。

 アニメとしては、主人公が女子高生…ではなく、一応、社会人が主人公なだけでも見る価値があるのかも。

 男性キャラはリアルに描いて、女性キャラは全員美少女に描くというのが少しズルいと思った。色々と、そういう非現実的なところがオタクっぽさを醸し出しているのだろうと思う。
 実写版でやるのなら、主人公は本田翼かなと。

しかしそれにしても…、京都アニメーション放火事件とは関係ないとは言え、こういうガンバっている人達が多く殺害されたのは本当に…



SHIROBAKO Blu-ray BOX 1 スタンダード エディション (3枚組)
茅野愛衣
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
2020-02-19