#1 犯罪係数
2015-12-18


鑑賞した日付:2019年1月20日
「サイコパス PSYCHO-PASS シリーズ1、2」  作者:虚淵玄
★★★★
総合点:87点/100点

未来のディストピア的管理社会を舞台にした結構、硬派な刑事物。
とにかく最初から最後まで全てにおいて抑制されていてシリアスな内容を貫いていて、それについては良いと思うし素晴らしいと思う。ただ、設定が甘い。緩い。設定の理論がわりと大雑把というか、穴が結構ある。

この作品の良いところ、特徴としては、あまり大きなマイナス点が無いままずっと行くといった感じ。
多少、話や舞台設定に無理があるも、それ以外にはどこにも欠点が無い素晴らしい内容と言えよう。

ただ逆に言えば、それほど斬新だったり盛り上がるところも…、無いとは言わないがあまり無いように思った。
全体の話のスジや舞台設定等はこれまでにも何度も作品化されてきた典型的なSFサスペンスであり、人間が完璧なコンピューターやロボット、アンドロイド等に管理されている社会だが、果たして本当に完璧と言えるのか?みたいな内容はありきたりすぎる。そしてその矛盾を突いたようなストーリー、つまり、サイガ先生の言うところの「全能のパラドクス」というものだが、これについては100番煎じと言っても良いディストピア文学的内容である。それも実際にあり得るかどうか?を含めると、かなり子供向けのSFと言わざるを得ないだろう。

ただ、そういう使い古された設定を、それなりにマイナス点も無く真摯に作り上げている様なところが良かったと思う。そして現在ではそれはGoogleなどに置き換えて考えさせられるところもある。事実上、ネットの世界はGoogleに全て監視され統治されている現在…。SEOなどに取り組んだ者なら分かると思うが、どうしてこれほどまでにグーグルのご機嫌をうかがわなければならないのか?と嫌気がさしてくる様はまさにこの物語の中で犯罪者たちがシビュラに抱く思いと同じだと言えよう。そしてそれは同時に、ストーリーとしては無理があり過ぎる設定であるとも言える。


特に言うことはない…といった感じの良作だが、しいて言うなら…、
やはり虚淵玄の話は練りこまれていて素晴らしいけど雰囲気が重すぎる。
読後感というか視聴し終わった後に本当に重い気持ちにさせられて爽快感や教訓があまり感じられなかった…かな?

流石、虚淵先生で、全体としてはストーリーも練りこまれていて高得点だが、
とにかくスッキリしないし重くて楽しくない。
スゲーとは思うけど。

ジョージ・オーウェルの「動物農場」の引用は良いが、
スーパーセルのエンディング曲名、そして全体の内容も、浦沢直樹の「モンスター」と被りすぎではないか?

その超カッコイイED曲はこちらで紹介した↓
アニメ「PSYCHO-PASS」のエンディング曲「名前の無い怪物」

はじめしゃちょーやヒカキンがドミネーターのオモチャの紹介してた。