競争優位で勝つ統計学

鑑賞した日付:2016年10月2日頃
「競争優位で勝つ統計学」  作者:ジェフリー・マー
★★★★
総合点84点/100点満点

カジノでブラックジャックのカウンティングをして大儲けした台湾系アメリカ人でMIT卒の人の本。
久しぶりに自分よりも頭が良いと思われるような人を見つけたような気がした。

一説によれば、この世で一番頭がいいのは、医者でも弁護士でも学者でももちろん政治家でもなく、
『「投機」で永続的に利益を上げることが出来ている人…』なのだそうな。
そういう人が一番、“地頭”がいいということなのだろう。

ただ、本の内容は殆どギャンブル、特にスポーツにおける確率、統計学の話で、そういう部分は読み飛ばした方が早く読めるだろうと思う。話し始めると興奮して色々と尾ヒレを付けて話をしてしまう頭の良い人の話といった感じも。この本を読む前に映画「マネーボール」を見ておくことをお勧めする。

絶対的な気付きを得た!とか、ギャンブルの統計学に関する話の中で新たな気付きがあったりする本ではないが、この著者の魅力は非常によく伝わってくる。ゆえにこの人をモデルにして「ラスベガスをぶっつぶせ!」という映画にもなったのがよく分かる。

特に、「ホットスポット(ホットハンド)」と言われる、確率・統計の中での“偏り”について探求している本。

カジノのバウンサーに目をつけられて追われた話は同じアジア人として本当にハラハラするというか、怖いと思った。こんなアメリカの(しかも差別意識の強い南部の田舎の)カジノでアジア人の男が一人死ぬ、消すことなんて…容易いというか、行方不明にすればいいし…なんて、彼らは本当に思っていそう。彼らは。…という絶望感。
ちょうどそこに居た警察官に助けを求めようとするも、警察だって味方じゃないと悟り思い留まった話は本当に、僕もNYのスパニッシュハーレムで迷子になった時の事を思いだしてメチャクチャ共感したし怖いと思った。日本以外の国の警察官って、別に「親切な正義の味方」じゃないからね…。
ちなみに、スパニッシュハーレムって名ばかりで、実際にはほぼ黒人しか住んでないぜっw!