おもいでエマノン

鑑賞した日付:2010年12月23日
漫画「おもいでエマノン」  作者:梶尾真治
★★★★
総合点:91点/100点

生命が誕生してから30億年ほどの記憶を全て持っていると言う不思議な美少女エマノン。
そのエマノンと知り合った男性の話。

話の整合性というか、理屈的にどうか?という所を考えていくと、
どうしても無理があるけれど、この作品は元々SFなので、別にそれは良しとしましょう。

とにかく絵が綺麗。絵が、この漫画の良さの大部分を占めているように思う。
エマノンは何かにつけ服を着ていない描写が多いので、ちょっとエロい。です。

あまりに絵が綺麗な為か、遅筆でもある様です。けれどもそれがこの漫画の良さでもある。
話が圧倒的に短いのだ。完全に短編的な書き方をしている。
大した事無い話を延々と続ける長編志向の作品が多い中、この短編志向が僕にとっては凄く心地良く感じた。(僕はセルフとかモテキみたいな短編的な話の方が…結構好き。)

そして元々は小説であったものを、漫画として起こしているんだなぁと言うのが読んでいてよくわかる。台詞回しが小説特有のそれだからだ。というよりも、これは絵を描いた人と原作を書いた人が完全に別で…、詳しくは続編の時に書くが…。

第一巻ともいえるこの作品は、まだエマノンの顔の書き方が定まっていないようなところがある。
完全に外人みたいな顔にするのか、それともそうでないのか、まだ思考を重ねているような不安定さを少しだけど感じた。

元々この漫画のコンセプトがちょっと他の漫画とは違っていて、エマノンという少女が実在しているかのような視覚的アプローチを求めた作品で、エマノンという少女のグラビア写真集的な漫画ともいえる。


以下ネタバレ


13年前のかつてのエマノンから生まれた新しい子供のエマノンと13年ぶりに出会うシーンは、そのアイデア自体は素晴らしいと思うし、少し物悲しくて良いのだけれど、主人公に対して、13年前のエマノンでなければ知るはずの無い事をもっと言って欲しかった。
あれだけでは、母親から聞いてそれを少し話している程度なので、そこをもう少し膨らめて欲しかったように思う。

それから、エマノンは実にうまそうにタバコを吸っているように見えるが、やはり今のご時世、ヘビースモーカーであると言う描写はいただけない。ヌードシーンよりも海外ではその一点で放送禁止になりかねないほどだ。
そして30億年分の英知を得ているエマノンが何故そんなバカな行動を取るのか?
そういう部分は理屈的に、やはり納得がいかない。生命の英知の象徴であるはずのエマノンが喫煙厨って言うのはどうかと思います。だったら、エマノンは喫煙厨特有の低所得でパチンカスということでもアリですよね?その30億年分の記憶はまったく活かされていないのか?

ちょっと話が飛躍しすぎたか・・?
実際、この漫画の中でエマノンも、
「自分はただの生命の思い出でしかない・・。」と言うようなことを言っているので、
そこまで厳しく見る必要も無いのかもしれないが・・。



星は5つでも良いが、上記の点などを加味し、辛口に言って星4つ

実に雰囲気のある良い絵、ストーリーの漫画です。

エマノンという名前の由来がなんだか少しカッコイイ・・・。