ブラッドハーレーの馬車

鑑賞した日付:2009年10月26日
「ブラッドハーレーの馬車」  作者:沙村広明
★★★
総合点:69点/100点

この作品も、最近、僕自身なぜ研究しているのかわからないが、
エログロ研究の過程で出会った作品。

他のエログロ系の作品と比べれば、これはかなり心の琴線ならぬ情動に訴えかけてくるのだが、
何かが、どこか・・、
かなりイイ線いっているんだけど、もうひとつストーリーにひと手間加えて欲しいという気がする。

しいて言うなら、テーマがハッキリしていないのではないかとも思う。
完全に虐殺の快楽やエロ目的の話にするのか、
それともそういう価値観や概念を問題視した問題作にするのか、
或いは完全に御伽噺とするのか、
或いはひどい環境からの脱出劇にするのか?
それとも秘密裏に行われている悪事に対する告発劇にするのか?
犯罪者や看守、経営者達の人間ドラマにするのか?
その辺をハッキリさせた方が良いと思う。

表紙の絵が芸術的にすばらしいと思う。
どことなく大槻ケンジの名作「新興宗教オモイデ教」の初期(初版)表紙絵をも思わせる。
そういう意味でも、この漫画は意外と澁澤龍彦や四谷シモンなどのエログロの系譜にあるのかもしれない。

ブラッドハーレーの馬車
沙村 広明
太田出版
2013-10-16